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「木下どこ行ったんだ?」
さりげなく言ったつもりが、少し、声が上ずった気もしてきて、内心、かなりドキドキして香奈美からの言葉を待つ。
「あの子なら保健室だよ?やっぱり具合悪かったみたい」
香奈美の言葉に俺はかなり動揺してしまう。
本当なら今すぐ彼女の様子を見に保健室に飛んでいきたい。
でも香奈美がいる手前そんなこともできず、気持ちだけが焦る。
「どうかした?」
相変わらず俺の微妙な変化にも香奈美は気づく。
俺は「何でもない」と誤魔化しながら何でもないフリをする。
「あのさ、今朝、言ってた今日の帰りなんだけど……」
なぜか香奈美は俺の様子を伺うように微かに言葉を詰まらせながら聞いてくる。
「ああ…。練習だろ?」
香奈美の言葉に今朝、放課後、ちょっと付き合ってほしいと言われたことを思い出す。
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