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「朝……早いんだね。前におばちゃんから聞いてたんだけど本当だったんだ。……練習?」
やっと微かに笑うがやっぱりどこかぎこちなくて、俺は落ち着かない。
「まあな……」
さすがに彼女を迎えに行くために早起きしているなんてことは言えない。
でも俺は焦っていた。
もう彼女の家に向かわなければいつもの時間には間に合わず、彼女のことを待たせてしまうことになる。
そして遅れると彼女と一緒にいる時間が短くなってしまう。
酷い人間かもしれないが、俺は目の前にいる様子の可笑しい香奈美より彼女との時間のことの方が気になって仕方がなかった。
俺は我慢できずに携帯を開き、時間を確認する。
いつもよりも10分、遅れてしまっている―――走って彼女のところに行きたくて堪らない。
学校でもあまり一緒にいられない分、俺にとっては……俺たちにとってはとても大切な時間だった。
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