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「急いでるの?」
俺の様子に気づいた香奈美が聞いてきて俺は後ろめたさからか、少し体がビクつしてしまった。
それでも俺は一生懸命、香奈美に悟られないように平静を装う。
「まぁ、早く行って練習したいし……」
なんとかこの場を離れたくて言った言葉が自らの首を絞めてしまうことになった。
「じゃあ……私も一緒しようかな」
無邪気に笑いながら香奈美が言い出し「早く」と立ち尽くす俺を急かす。
本当は朝練じゃなくて彼女のところに行くはずの俺は戸惑いを隠せない。
でもそんな俺の様子にも気づかない香奈美は俺の腕を引っ張りだし、今さら違うなんて言い出せなかった。
俺は諦め、学校に向け足を進めながらポケットから携帯をだし、香奈美にバレないように短い文のメールを彼女に送った。
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