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私の表情は凍りついてしまった。
そんな私にタイミング悪く香奈美が気づき、元気に手を振り私に近づいてくる。
私は逃げ出したい気持ちを必死に堪え香奈美に頑張って笑って見せるが、自分自身、どんな顔をしているのかさえ分からない。
ちゃんと笑えてる?―――近づいてくる香奈美に変化を気づかれたくはなかった。
でも香奈美の後ろにバツ悪そうに私を見る青葉を見るのが辛くて目を反らしてしまう。
「どうしたの?………具合が悪いの?」
私の変化に気づいた香奈美が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
私はそんな香奈美からも顔を背けてしまった。
だって私は香奈美に心配してもらう資格なんてない。
香奈美がずっと青葉のことを好きだって知っていたのに、私は自分の気持ちに嘘をつけず、皆に隠れて付き合っている。
なのにちょっとしたことで私は香奈美に焼きもちをやいている。
すごく自分が嫌な人間に感じてならなかった。
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