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私を見た瞬間に表情がほころぶ青葉にくすぐったさを感じる。
でも同時に辛さも感じ、私はすごく複雑な気持ちで青葉を見つめてしまう。
徐々に沈んでいく青葉の様子に私までもが悲しくなってしまい、思わず静かに目線を落とす。
「……少しでいいから出てきてくれないか?」
少しの間を空けて青葉の沈んだ声が届く。
その声に胸を締め付けられ、泣きそうになってしまうが、青葉に気づかれないように必死に耐える。
さっきの青葉の様子で私に会いたくて会いに来てくれたんだとわかった。
すごく嬉しかったけど脳裏に横切る朝の香奈美の嬉しそうな顔。
今はあっちゃいけない気がする―――でも会いたい。
葛藤しつつ青葉の様子を盗み見ると青葉が玄関前の階段に足を踏み入れるところだった。
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