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「待って!
今、行くから!」
私は青葉の足を止めようと慌てて言うと、すぐに部屋を飛び出し玄関へと向かった。
青葉は本気で家の呼び鈴を押すつもりだと思ったから。
でもおばあちゃんが驚くとかそういうんじゃなく、本当は私が会いたいって思っていた。
でも私は後ろめたさからドアが開け少しだけ顔を覗かせるように青葉の姿を確認する。
すぐに青葉と目が合い、私は慌てて笑って見せるが青葉の表情は雲ってゆき、でも青葉はまた一歩、こちらに足を進めた。
「あっ……」
そんな青葉に気づき、私が飛び出すように青葉の方に行った瞬間、青葉は迷うことなく私を抱きしめてきた。
私は突然のことに驚き、腕の中で小さくもがいてしまう。
でも青葉は私が動けないくらい腕に力を込めてきて、私は青葉の異変に気づく。
「青葉?……泣いてるの?」
私の言葉に青葉が過剰な反応を示したが、何も答えることなく私を抱き締め続けた。
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