後悔と傷

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 まだ5分と経っていないのにすでに後悔している私。  何度、足を止め青葉の元に戻ろうと考えたか分からない。  学校に近づくにつれ周りに生徒の姿が増えてきて私は頬に伝う涙をソッと手の甲で拭う。  こんなところ誰かに……  香奈美に見られても言い訳が見つからない。  そして一生懸命、自分の中で気持ちを切り替え涙を堪える。  でもそんなに簡単に波度は止まってくれず、学校に着くとすぐトイレに駆け込んだ。  泣いちゃダメ……  これ以上、泣いてしまったら目が赤くなってばれてしまう。  水道の水で目を冷やし、溜まった熱を冷ます。  火照った目の辺りが冷やりと気持ちいい。  同時に徐々に気持ちも落ち着いていくのが分かった。  蛇口を閉め、ハンカチで目元を拭うと鏡で確認する。 「うん、大丈夫」  まるで自分に言い聞かせるように言う私は深く息を吐き、気を引き締めてトイレを後にした。 .
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