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何度、携帯に手が伸びそうになったことか……
何度、携帯が鳴ったように聞こえてしまったことか……
私は一時も携帯から離れることもできず、鳴らない携帯を何度も確認してしまった。
そして精神的にか疲れていた私は携帯を握り締めたままウトウトとし出した時、急に携帯が鳴り出した。
一気に目を覚ました私は無心で携帯に飛びついた。
「はい!」
焦りと動揺につい切れのいい返事をして電話に出てしまった。
「どうしたの!?」
耳に飛び込んできたのは青葉の声ではなく、驚いた香奈美の声。
私はその声に思わずがっかりしてしまう。
「ごめん……寝ぼけてた」
誤魔化すように笑うと携帯の向こうで香奈美が呆れ笑いをもらし
「ところで大丈夫なの?」
急に心配そうに声色を変え、聞いてきた。
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