9人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「ごめん……私にはやっぱり選べない。青葉のこと好きだけど香奈美もすごく大切なの」
青葉の表情が苦痛に歪み
「嫌だ!!」
悲鳴に近い青葉の声に飛び上がりそうになり、そして次の瞬間、引き寄せられ私は青葉に抱きすくめられていた。
その力は痛いくらい強く、まるで私を締め上げるようだった。
「痛い!青葉、離して!!」
身動き一つできずに私はただ訴えることしかできない。
でも青葉はその力を緩めることはなく、ひたすら私を抱きしめ続ける。
「絶対に離さない。ただ好きなだけなのに……想いは同じはずなのに香奈美の言葉で俺たちは駄目になるのか?」
青葉の言っていることはよく分かるけど、私は香奈美が居たから知らないこの地に来ても一人じゃなかった。
笑えるようになった。
香奈美は知らないだろうけど私は香奈美にかなり救われた。
それなのに私は裏切り傷つけるようなことをしてしまった。
もうこれ以上、香奈美を裏切り傷つけるような真似だけはできない。
.
最初のコメントを投稿しよう!