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香奈美の言葉に私はすごく動揺した。
心臓をギュッと掴まれたようなそんな締めつけを感じながら香奈美を見つめ返す。
いつの間にか香奈美の目には涙がいっぱい溜まり、今にも零れ落ち頬を伝いそうになっている。
それをグッと堪えるように私を睨むように見てくる香奈美に私は返す言葉が見つからなかった。
多分、香奈美は分かっている---私がどう思っていたかなんて。
間違っても心の中で笑っていたことなんてないってことは言い切れる。
ただ心のどこかでは優越感に近いものを感じていたかもしれない。
何も知らない香奈美の目を盗み私たちは会い、連絡を取り合い、時には側に居るにもかかわらず手を繋いだ。
香奈美を応援するようなことを言いながら私は自分の幸せばかりを願っていた。
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