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「……え?」
香奈美の言葉に私は驚き、声を漏らしてしまう。
それも香奈美には私が誤魔化しているように聞こえたのか、表情が更に強張る。
「どう見ても片想いって感じじゃなかったじゃない。杏奈なんかさっき青葉に抱きついてたし!いつの間にそんな仲になってたのよ」
香奈美に言われ、さっき見られたことを思いだし恥ずかしさから頬が熱くなってゆく。
「おい、木下ばっか責めるなよ」
見かねた青葉が私と香奈美の間に割って入ってくれたが、それが余計に逆効果だと私はすぐに悟った。
でも青葉は私を庇うのに必死で気づいていない。
「何それ!青葉が庇んなでよ……」
それが一番、悔しかったみたいで怒りかそれともあまりにショックなのか、その声は震えている。
青葉もさすがに香奈美の異変に気づき、しまったといった顔をした。
でも今さら取り返しようもなく苦痛に歪む香奈美の顔をただ見ているしかなかった。
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