崩壊

13/20
前へ
/32ページ
次へ
 しばらく重い空気が漂い、誰一人として口を開こうとしない。  そんな中、その沈黙を破ったのは香奈美の深いため息だった。  わざと大袈裟にしたのは分かっているが、周りが静かなのもあり余計に辺りに響く様に聞こえる。  青葉と2人して香奈美の方に視線を向けると 「もういいよ……」  ため息混じりにそう呟いた。  でもそれがどういう意味なのか私たちには分からない。  許してくれたのか、それとも呆れ返り投げ出すような意味合いなのか。 「それってどういう意味?」  私が聞けずにいると青葉が香奈美の様子を伺うように聞く。  瞬間、香奈美の眉がピクリと動き、また表情を強張らせる。  そして青葉を睨みつけるように見ながら 「そんなことも分かんない?あんたたちなんてどうでもいいってことよ!もう私に関わらないで!!」  吐き捨てるように言い放った。 .
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加