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二人とも私の言葉を待っているのが分かる―――二人の視線がすごく痛い。
私は二人を交互に何度も見る。
二人ともすごく切羽詰まった顔で私を見ていて気持ちばかりが焦り、追い詰められてゆく。
無言の圧力に押し潰されそうになりながら私は意を決して口を開いた。
「やっぱり選べないよ……」
でもそんな答えは許されるわけなくて香奈美は深いため息をつくと私の手をあしらう様に振り払うとそのまま行ってしまう。
「香奈……っ」
青葉が追おうとする私の腕を掴み止める。
私にはその手を振り払うことができなくて一度も振り返ることなく小さくなってゆく香奈美の背中をただ見送ることしかできなかった。
このままじゃダメだ!はっきりさせなくてはいけない。
私はゆっくりと振り返り青葉に視線を移した。
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