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香奈美はまだ私たちには気づいていないようだ。
その背中は寂しげで肩を落とし力なく俯いている。
「香奈美」
青葉が様子を伺うように小さめに声をかける。
その声に香奈美の体がビクッと跳ね、すごい勢いで振り返ってきた。
そして私たちの姿を捉えると一気に表情は曇らせ、立ち上がり走り去ろうとする。
「待って！」
私がそう言葉を発したのと同時に青葉が香奈美の腕を掴み止める。
「離してよ！」
香奈美はすかさずその手を振り払おうとするが青葉はそれを許さない。
「離したら逃げるだろ？」
強めの口調で青葉言うと香奈美は悔しそうにした唇を噛み、そして諦めたのかすぐに抵抗を止めた。
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