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「いいよ……もういいよ」
謝り続ける私に香奈美が聞き逃しそうなくらい小さな声で溢す。
私はその言葉で救われた気持ちになり嬉しげに顔を上げる。
でもそんなに現実は甘くはないと知る。
顔を上げ見た香奈美の表情はさっき以上に険しく冷ややかなものだった。
「香奈美?」
その表情に驚き、戸惑いながらも声をかけてみる。
「杏奈の性格からして言えないって分かってるから別に隠してたことはいい。ただ、私の気持ちを知ってて二人して笑ってたの?」
落ち着いた口調だけどその声からはかなりの怒りを感じられた。
「そんなこと「じゃあ、どう思ってたの!?」
すかさず否定しようとする私の言葉をかき消して香奈美は更に問いただしてきた。
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