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周りのざわつきすべて私のことを話しているかのように感じられて怖い。
でもせっかく頑張ってここまで来たのだから今さら逃げるように帰るわけにはいかない。
私は膝の上で拳を作り、ギリギリの所で思い止まる。
いつもならそろそろ香奈美が来る頃だろうと思っていた矢先、香奈美の声が耳に飛び込んできた。
瞬間、私は自分でも驚くくらい俊敏に反応し、気づくと立ち上がり香奈美の方向に体が向いていて、私の姿に目を見開き驚く香奈美の姿が目に飛び込んでくる。
香奈美は驚きのあまりか固まった様に動かなくなり、その場に立ち尽くし私をただ呆然と見返す。
「香奈美……」
香奈美に目を奪われ気づかなかったが、その隣には津山さんが居て固まる香奈美の肩を軽く揺さぶる。
瞬間、香奈美は我に返り私から視線を反らすと避けるように足早に自分の席へと歩き出した。
「香奈……」
緊張のあまり震えそうになる声を振り絞り呼び止めようとする。
でも津山さんがジッと私を見つめ、その言葉を飲み込ませた。
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