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香奈美は一旦、足を止めたがすぐにまた歩きだし、足早に俺の横をすり抜けていく。
｢おい！｣
咄嗟に香奈美の腕を掴むがすぐに激しく振り払われてしまった。
｢香奈美、少しでいいから話を聞いてほしい｣
俺の言葉に香奈美の眉がピクリと動き、そして唇をきつく結ぶのが見えた。
でも今までとは違い逃げようとはしない香奈美に少しホッとする。
｢歩きながら話そうか｣
俺が言うと頷くことも返事をすることもなく先に歩きだした。
その速度は合わせるのが辛いくらい遅い。
沈んだ香奈美の横顔を見ていると、なかなか話しかけるタイミングがつかめない。
｢話すなら早く話してよ｣
今までずっと口をきいてくれなかった香奈美が少しぶっきらぼうに俺に言った。
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