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「嘘!だっていつもそんな目で見てたじゃない!!」
どこをどう見たらそんな風に感じたのか分からないが、香奈美はずっとそう感じていたらしい。
だからあんなにまで俺を避け続けたのかと少し納得できた。
「そんな風になんて一度も思ったことない。多分、木下は自分を責めてるんだと思う」
言いながら彼女の辛そうに歪む顔を思い出す。
ただ、ここまで追い詰めたのは俺かもしれない。
何度も彼女は香奈美のことを気にしていたにも関わらず俺がそれを強く拒み、彼女を苦しめ続けた。
分かってはいたけど諦めたくなかった……
手放したくなかった……
ずっと側にいたかった……
ただ、それだけなのにどうしてこうもタイミングが悪いんだろうって何度も何度も思った。
---誰も悪くないのに。
どうして傷つけ合わなくてはいけないんだろうって、傷つかなければいけないんだろうって思った。
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