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朝から家の中は重く、しんみりとした空気が漂っていた。
会話もいつもより少ないというより、殆んど会話を交わさない状態が続いていた。
シンとした部屋には些細な音さえ大きく聞こえ、その静けさを強調させる。
「もう良いの?」
箸を置いた私におばあちゃんが小さく尋ねてくる。
「うん、ご馳走様」
頑張って微かに微笑み、そして食べ終えた食器を手に流しの方に足を向ける。
「電車、何時だけ?」
おばあちゃんの言葉が重くのしかかる。
「17時過ぎ……」
私は込み上げてくる気持ちをグッと堪えるように口を結び答え、私は自室に戻った。
本当ならもっと話していたいけど、あまりに寂しそうなおばあちゃんを見ていると側に居るだけで涙が出そうになる。
だから私は残りの時間を部屋にこもり、その時を待つことにした。
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