エピローグ

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      ※  すごくドキドキした。  思わず手を差し伸べてはみたが、彼女が恥ずかしがって握り返してくれるなんて思わなかった。  小さな手。  すごく柔らかくて温かい手。  そんな彼女の手を握って今走っている。  まるであの頃にタイムスリップしたような感覚が蘇る。  9年前に初めて感じたあのドキドキ感を…… 「青葉速すぎる!もう無理」  彼女の辛そうな声が、また9年前に意識をスリップしていた俺を一気に引き戻す。  そして、ついはしゃぎすぎて彼女の事を忘れスピードを上げすぎていたことに気づく。 「ごめん」  謝りながら俺は走るのをやめた。  彼女は額に汗を滲ませながら、本当に苦しそうに浅く荒い呼吸を繰り返していた。 .
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