第９話[匂いフェチ]

匂いフェチ

『こんな事をしている場合じゃない
……真由美の親父さんが来てしまう』

豊は、誰とは無しに喋りながら、断腸の思いで、胴着を全て洗濯機の中にほうり込んで、洗剤を入れスイッチを押す。

急いでシャワーを浴び浴室から出た時には、壁に設置してあるデジタル時計は５時40分を表示していた。

(意外な所で、時間を費やしてしまった。これからは香として生活しないと、生活もネット事業も破綻してしまうな……)

そんな事を思いながら鬘をセットして、薄化粧を施し終えた時、
チャイムがなった。