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ーー気が付けばいつの間にか仮想世界の太陽は地平線へと沈み始め、空は紅く染め上げられていた。それは現実世界ではあり得ない程幻想的で俺はその光景に釘付けになる。
「そろそろ戻るか」
暫く見入った後そう言い放つと、その言葉を皮切りにスピが釣り上げた数十匹の魚を愛おしそうに一匹ずつアイテムウィンドウへとしまい込む。俺はというと何故か一匹だけ釣れた蛙を指でつまんでいる。
「んー! よく寝たにゃー……」
いつの間にか昼寝をしていたミケが両手を広げ大きく伸びをする。と、体を伸ばしたままピタと止まった。
「蛙って鳥肉の味がするんだよな……ん?」
蛙をどうしようかと悩んでいた俺は不自然な体勢で静止するミケに気づく。
「おい、どうしーー」
「に″ゃー!」
「うわっ!」
突然叫び声を上げたミケに驚き、俺は手に持っていた蛙を宙に放り投げてしまう。
必死に腕を伸ばすが、蛙は宙を舞い、最後は川へボチャンと落ちて見えなくなってしまった。
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