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「と、鳥肉……」
「……気持ち悪い」
ガックリとうな垂れる俺の心にスピの呟きがグサリと刺さる。向けられた冷ややかな視線が更に痛い。
「で、どうしたんだよ」
俺は蛙の事は頭から捨て、尚も慌てた素振りのミケに聞いた。
「ユッキーにお客さんが来てたのにゃ」
「それ、いつの話?」
ミケが顔を逸らす。
「さ、さっきにゃ」
「さっきっていつ?」
俺は逸らされたであろう視界の先に無理やり入りこむ。少し間を開けて、ミケがゴモゴモと何かを言う。
「……ミケがここに来る前にゃ」
ミケがここに来てからゆうに三時間は経過している。俺とスピが釣りをし、ミケが昼寝をし、そして今ここで話している間、お客さんとやらはずっと俺の事を待っているという訳だ。
「……忘れてたにゃ」
俺たちは駆け足で川の上流にある拠点へと向かった。
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