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この子はままごとでもしているのかと毎度の事に思う光景だが、一度それを口に出したら暫くの間スピの中から俺の存在が消え失せたという事があったので、何も触れずに俺も川へと釣竿を振る。
スピはその間に二匹目を釣り上げていた。
「ユッキー! スピちーん!」
スピが八匹目の魚を釣り上げ、俺が変化の無い釣竿を見飽きて空を見上げ始めていた時、遠くから、高くて元気いっぱいな叫び声が聴こえてきた。ちなみにユッキーはフユキこと俺の事だ。
手を振りながら近づいてくるその人影は頭の上の方にピンと耳が生え、腰の辺りに見える尻尾がぷらんぷらんと揺れている。まるで二足歩行の猫のようだ。
「にゃにゃ! お魚いっぱいだにゃ!」
猫語までも操る猫少女。しかし、歴とした人間で、耳と尻尾の正体はパーカーのフードの部分についた猫耳と、ショートパンツに付けた尻尾のようなふわふわ素材のアクセサリー。
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