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『プシュー』
前田が螺旋を描くように噴射器を回す。
独房内は、まるで濃霧が立ち込めたように霞んでいる。
「ここも微粒子が立ち込めてくるよ。
この場所から早く出て鉄扉を降ろしましょう」
香が前田と小林に呟いた。
「香さん。鉄格子の前の鉄扉はどうしましょう?」
小林が香に尋ねる。
「小林。お前は何を言ってるんだ。
鉄扉を降ろしたら噴射器で灯油を吹き付けたのが無意味になるだろうよ」
前田が小林豊を睨み付けるように声を出した。
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