「嬉々迫る不幸自慢」

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「そうだ。勝負と銘打ったんだ。僕に勝てたら」 つまり、キミが僕より劣っていたら。 「キミの連合に入ろう」 そう言った途端、サキュバスさんはニヤリと笑い、 「……クク、言うではないか。受けて立つ! 我の先制攻撃じゃ!」 見得を切るように、腕を振り、宣誓するように先制する。 「我はの、国民に差別を受けておる」 サキュバスは続ける。 「理由は至って単純じゃ。我が僧侶になったからじゃ。サキュバスは精を喰らうが誉れ。夜に君臨する夜魔族の王女ともあろうものが、そのような、穢れたものに堕ちようとしておると、我は迫害されておる」 僧侶を穢れと呼ぶんじゃからのう、サキュバスとはそういうものなのじゃ。と、自嘲し、 「じゃがな、我は僧侶になった。未だなお避難されようと、我はそれを曲げるつもりはない。国民に堕ちた王女と蔑まれても、我は」 「もういい」
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