「嬉々迫る不幸自慢」

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まぁ、いいじゃないか。僕は試合に勝ったが、勝負に負けたみたいなものだ。君のほうが恵まれている。優れている。良いことじゃないか。羨ましい。 そう思い、声をかけてやろうとすると、 「……ぅわああああ!!! なんて、なんて不幸なんじゃ貴様はぁあああ!!! うぇええええええん!!!」 「ぶぐっ!?」 力いっぱい抱き締められた。 「うぐっ、ひぐっ……! すまん、すまんのう、何も知らず、知ったような口を利いてしもうて……! そんあ、ずひゅ、過去があったなど、おぼわながったんじゃあああああ! びええええええん!」 ぎゅうううう、と抱き締められている。く、苦しい。痛い。背骨がペキペキ鳴っている。胸が顔に押し付けられて嬉しい。だが苦しい。 「ううううう……! ずびっ、よし、我は決めたぞ! 我が貴様の連合に入る! 我がトップに立ちたかったが、致し方ない、ここはぐっと堪えるのじゃ……!」 「!?」 待て、どうしてそうなった!? おかしいだろ!? それじゃ僕がサキュバスさんの連合に入るのと変わらないじゃないか! 僕はサキュバスさんの腕をタップして、解放してくれという意思を伝える。サキュバスさんはそれに気付いたようで、抱き締めをやめてくれた。もっと柔らかい抱き締め方なら歓迎するのだが。
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