「嬉々迫る不幸自慢」

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「そして、我はサキュバスでありながら、僧侶じゃ。闇と光、邪と聖という相反する性質を共有しておる。じゃから、我にとっては、貴様のような魂は、とても美しく見えるのじゃ。我はそこまで、洗練された魂じゃないからのう」 「……買い被りすぎ、だ。洗練なんかされていない」 「……かものう。今魂がプンスカ怒っておる。素直じゃないのう」 「見るな」 分かった分かったと、サキュバスさんはクククク笑いながら言う。いまいち信用ならないが、まぁいい。気になっていた理由が聞けて、良かった。 「ぬ、なんだか魂が嬉しそうに跳ねておるように見えるのう……」 「……気のせいだ。と言うか、そろそろ帰ってくれないか。もう三時も過ぎてしまいそうな時間じゃないか」 「まだ貴様の連合に入っておらぬぞ?」 「だから、僕は『戦争制度』に参加する気はない。さぁ、さっさと帰ってくれ。僕はもう眠たいんだ。明日から授業が始まるのだから、居眠りするわけにはいかない」 「真面目じゃのう。まぁよい、我も少し眠っておくか。夜行性じゃから、ただでさえ朝は辛いからのう。それじゃあ、連合の手続きは明日の昼休みにでも」 「帰れ」 「イジワルー」 僕は散々悪いと言われた目付きでサキュバスさんを睨んでやったが、サキュバスさんはどこ吹く風といった感じで流された。 「仕方ない、今日はこれくらいで勘弁してやるとするかの。それじゃあ、また明日じゃ、ナミヒト」 サキュバスさんはそう言い残し、フッと闇色の煙のようなものになり、窓から外に出てよ闇に溶けて消えてしまった。鍵の意味がないじゃないか。 しかし、これで脅威は去った。ゆっくりと寝なおそう。僕はそう思い、部屋の電気を消して、布団にも潜り込んだ。さぁ、おやすみなさい。 「…………?」 ? 何故か眠れない。口角が勝手に引きつる。落ち着かない。何故だ? 「……?」 全く分からない。何故眠れないんだ。何故こんなに目が冴える。さっきまで部屋が明るかった所為か? いや、寝る寸前までゲームをしていることもよくあったから慣れているはずだ。それにしてはいつもと違う気がする。 分からない……。さっぱり分からない……。 その日、結局僕は、その謎の不眠症と朝方まで戦いことになってしまうのであった。 ――― ――――――
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