「嬉々迫る不幸自慢」

3/33
前へ
/33ページ
次へ
「……な、なんじゃ、あの壺……。うぐぐ……! 臭い、生臭い! なんじゃこの匂い!? 栗の花というか、洗剤というか、乳臭いというか、うげぇ……! き、気持ち悪い……!」 禍々しいオーラ(臭気)を放つ壺。それが部屋の隅に隠す用に置いてあった。蓋をしているようだが、その蓋がずれているようで、匂いが漏れていウオェ、くさっ! ホントくさい! 「うぐぐぐ……! 何なんじゃ、これは……! イタズラ決定じゃ……! この匂いの元を顔の前においてやる……!」 我は匂いに顔をしかめながら、その壺を持ち上げる。すると、一瞬手ごたえを感じたと思ったら、 ドドドドド! と、無造作に積み重ねられていたダンボール箱が崩れた。 「ひぃ!?」 我はビックリし、アタフタとしながらその壺を机の上に置いて、そのダンボール箱を元に戻そうとし、脚を滑らせた。コケた。ドサッ! としりもちをついた。 「――――――!」 そして、痛みに悶えながら床をごろごろと転がる。いだだだだ! お尻! お尻痛い! 我の美尻が四つに割れてしまう! 何とか声を出さずに痛みを乗り越え、立ち上がり、チラッとナミヒトの方を見る。布団が動いた形跡はない。 「……ホッ、どうやら起きてはいないよう」 「起きたに決まっているだろう」 「ギャ――――――!?」 バァッサァ! とタイミングを見計らったように布団を取り払いながら起き上がったナミヒトにとてつもなく驚き、我は腰を抜かした。 …………!? ちょ、ちょっとだけおしっこ漏らしてしもうた……。 ――― ――――――
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加