「嬉々迫る不幸自慢」

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―――――― ――― まさか、その日のうちに来るとは思わなかった。罠を仕掛けておいて良かった。 物音で起きた僕は、目を擦りながら部屋の電気を点ける。サキュバスさんを見ると、何故だかもじもじしている。 ああ、あれか。 「…………トイレなら、向こう」 「だだだだだ誰がトイレにいいいい行きたいなどと言った!?」 「……うるさい。近所迷惑だから、大声は出さないでくれ……」 「ぐぅ……! こ、こんなにビックリさせておいて、よくもそんないけしゃあしゃあと……! いつから起きていたのじゃ! 待ち伏せしておったのじゃろう! そしてタイミングを見計らってダンボールを崩したんじゃろう! 卑怯者! 策士! 我が連合へ来い!」 「……途中から勧誘になっているぞ……。起きたのはダンボールが落ちた音でだ。そしてダンボールが落ちたのは、その壺とダンボールを支えてた本に糸を繋いでいただけだ……」 上手い具合に立て掛けるのは大変だったのだ。因みに糸は購買で売っていた『魔法罠製作キット』に入っていた。物を引き倒す力に特化しているらしい。これでブービートラップもお手軽に作ることができちゃうぞ☆ がキャッチコピーだった。物騒だ。 「つまり罠ではないか! 卑怯者! こういうものは敵に使うものじゃ!」 別に味方になった覚えなどない。
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