「嬉々迫る不幸自慢」

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「と言うかのう……」 サキュバスさんは、机に置かれたつぼをチラリと見て、 「何が入っているのじゃ、この壺は! くっさい! 気持ち悪い! 気分悪い! 気色悪い!」 「……でも好き?」 「そんなわけなかろう! 何でそうなると思ったんじゃ!? というかこれ何なのじゃ!?」 「……それは、牛の乳と豚の精液とヤモリ、イモリを丸焦げにして中に入れたも」 「ぎゃああああああああああ!!? 貴様、馬鹿なのか!? 馬鹿なのか!? 何でそんなグロテスクなものを作っておるんじゃ!」 「……言い伝えで、これを用意すればサキュバスは壺の匂いに釣られて、身を守れると」 「この匂いでか!? こんな匂いに釣られるとでも思っておるのか!?」 「……でも、実際、釣られたからその壺を手に」 「違うわい! こんなくっさいものを置いておるから、イタズラに貴様の顔の傍に置いてやろうとしただけじゃ!」 「……そうか。と言うか、うるさい」 「貴様がうるさくさせておるんじゃろうがぁあああ……!」 サキュバスさんはプルプルとピンク色のパジャマを揺らしている。 「……トイレなら、向こ」 「そういう震えではないわ! くそっ、この、馬鹿者っ! アホっ! まぬけっ! 三白眼! カラス羽! 鬼畜! 策士! 参謀に任命する!」 「……さらりと僕を連合に加えないでくれ」 サキュバスさんの強かさには恐れ入る。
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