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ふと気付くと、綾は草原に立っていた。
誰かが手を、握ってくれている…。
そっと、隣を見るとそこには、優しく笑う悠の姿が。
「…悠…」
悠は泣いているような笑顔を向け、そっと綾の頬に触れる。
「好きっていうこの気持ちは、俺のなのかな…。蒼のなのかな…」
頬に触れた手を、そっとずらす。
そっと首に触れる悠の手に、綾は自分の手を添えた。
「私も悠が好き。でも…これが私だけの気持ちなのかは…自信ないね…。」
そう言って、綾は悠に背中を向ける。
「綺麗なとこだね。…まるで、あの頃よく…」
言葉が、続かなかった。
幸せな、夢だと思った。
いつまでも続くはずがないとわかりながらも…。
続けばいいと思った。
続いてほしいと…願ってしまった。
「綾…」
ぎゅっと抱き締めてくれる腕。
「悠っ…お願い…傍にいてっ…ずっと、ずっと…傍にいて…」
泣いて、泣いて…。
このまま悠に縛られてしまいたい。
ずっとずっと…ここに縛られてしまいたい。
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