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パシャパシャパシャ
それは、優が透と礼央と街を歩いている時だった。
パシャパシャパシャ
「君~。カッコいいね。ちょっとそこのスタジオまで来てみない?」
後ろから誰かに声をかけられた。
「はい?スタジオ?」
「うん。すぐそこなんだ。怪しい者じゃないよ。僕は、”底野 芸能プロダクション”の、只野一志っていう者なんだ」
底野 芸能プロダクション
(そこの げいのう)
只野 一志
(ただの ひとし)
と書かれた名刺を渡される。
「や。でも俺、これから学校あるし?」
透と礼央の視線をスルーしながら答える優。
「優?今まさに俺らサボってるんじゃ…」
「まーまーまーまー。良いじゃん。俺も一緒ついてくよ?優?面白そうじゃん」
礼央の言葉をさえぎり、透が前に出てきた。
「ね?俺らも一緒に連いてくからさ。行こう」
その只野という男はカメラを抱えたまま、優をまじまじと見ている。
「やっぱりイケメンくんだな~。久しぶりに大当たりしそうだ。うん!ねえ君、そんなに難しく考えないで?
ちょっとしたお茶とお菓子も出すよ。だから来ない?チョコレートもあるよ」
俺は小学生かよ、
と心の中でツッコミながら、優は仕方なく頷いた。
「じゃー暇潰しに。どうせ学校サボりだし」
「やった!」
スカウトマンは嬉しそうにした。
そして、優はそのスカウトマンについて歩いて行った。礼央と透も一緒に後をついて歩いて行く事に。
渋谷のスクランブル交差点。
昼の一時の事だった。
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