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そう、この学園は“ヴァンパイア”の為の学園。人間社会にも溶け込む為にヴァンパイアの子供たちが学習する所でもあり、血への渇望と飢えを我慢することを学ぶ為でもある。
薄暗い教室の中、赤く光るヴァンパイアの瞳だけが美しく映える。
授業が遅く始まるのもヴァンパイアの為で、朝に弱いヴァンパイア達は起きれない。だから夜、ヴァンパイア達が活動し始める時間帯が授業になっている。
「ま、今度したら俺が直々に血を吸ってやる。」
速須田先生が低音エロボイスで言うから可愛い男の娘がたくさん落ちた。きゃーきゃー煩い。
「さ、授業始めるか。」
それから真面目にも授業が始まった。隣の暁はもう寝てる。先生が何度か起こそうとしたらしいけど諦めてた。
寝起きの暁は怖いから。キレてたまに能力使っちゃうからね。あ、ヴァンパイアは皆、それぞれ違う特殊能力がある。まぁ…一応僕も。
にしても本当にヴァンパイアが人間社会に溶け込めるのかな…。もしそれに失敗して僕達ヴァンパイアの存在が知られたら一生影で生きていかなくちゃいけないことになる。
かと言ってずっと裏社会で…人間の目から離れた所で暮らすのも退屈だ。一応、この学園は兄様が一部の人間と交わした約束に建てたものだという。
どうして兄様はこの学園を…。
それに僕は…外に出ても大丈夫なのかな…?
「…ヒナタ?」
「暁、起きたの?」
「いや……なんかヒナタから負のオーラが感じた…」
「なんだそれ。変なの」
「……だな」
暁がクスリと笑う。その瞬間、心臓が少しばかり跳ねた。
「じゃ、前半の授業はここまでだから夜飯行けよー」
「ふぁあああ……」
「結局終わるまで寝てたね。」
「寝足りねーんだよ……」
「はいはい。ご飯に行くよ?」
「…ああ……」
食堂に行く途中、何人もの吸血行為を見た。ほぼ、吸血行為をするのは恋人となんだけど…そうじゃない人もいる。
ツプリ..
「……っ……はっ…」
「まだ倒れんなよ…?」
なんて会話も聞こえくる。せめて自分達の部屋でやってほしいな。まあ…僕は他と違って飢えとかはないんだけど…。
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