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「どうした?!大丈夫か!?」
そう言って僕の両肩を掴み必死に聞いて来る暁。その前に、ヴァンパイアの怪力は凄まじいんだからそんな強く掴まないで欲しいな…!
「暁こそ…!どうしたの?」
「風呂出たら…急にお前の血の匂いがしたから……」
「………ごめん。ちょっと確かめたかっただけなんだ…」
「…何を」
「本当に僕に兄様と同じ血が流れてるのかなって…」
それを聞くと暁は深く溜息をついて、首に巻いてあったタオルを僕の手首に巻いてくれた。
「早く血、止めねえと。他の奴もヒナタの血の匂いに気付いて騒ぎ出す。まだ小さい傷だから良かったけど…」
あ…そか。
「つか…簡単に自分の血を飲もうとするなよ。お前には半分人間の血が流れてるんだ。ヒナタにとって血の味が美味しいって訳でもねえんだろ?」
「うん…まあ。自分のは美味しくないかな。」
へへ…と笑うと頭をベシッ!と叩かれた。…いや、ほんと、ヴァンパイアの力って伊達じゃないからね!車なんて軽々持ち上げちゃうんだからね!
「ほんとにお前は…純血の君にお怪我が!…みたいな事になったかもしれないんだぞ」
「くす…そうだね。もしこれが兄様に暴露たら大変な事になってたかも。」
「かもじゃねえ。なってるに決まってんだろ。」
暁は心底嫌そうな顔をして、また風呂場に戻って行った。まだ心配そうな顔はしてたけど、まずはちゃんと拭いてもらわないいけないしね。服も。
やっぱり、暁は落ち着くな。心から安心できる。それに、暁に怒られて頭が冷めたし…。
何しようとしてたんだろ僕…。
ーーin生徒会室ーー
「…ヒナタの血の匂い……」
一人敏感に、その血の匂いに気付いた男がいた。
玖華白華月。
「…はあ。あの子もほんと困る子だ。僕以外に、その血の匂いを嗅がせるなんて…。」
二階堂暁。彼はヒナタと同じ空間に居るだけでも不愉快極まりないというのに…。それにしても、ヒナタの血の匂いを前にして耐えるとは…そこだけは許してあげようか。
もし、一滴でもヒナタの血を飲んでいたりしたら迷わず首を刈っていた所だよ。
一人、生徒会室に残る華月の顔は、険しくなる一方だった。
「…ヒナタ、君は僕の物なんだ。…生まれた時からね…」
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