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「なーなー、ホントにやるの?」
黒の肩出しドルマンスリーブニットの中に白のキャミソール。
下はふわふわの膝上丈フリルスカート。
足元は爽快感のあるウェッジソール。
下着の事情は恥ずかしいから聞かないで欲しい。
ウィッグを被せられながら今日何度目かの同じセリフを吐くと、やっと答える気になったのか鏡の中の千尋と目が合う。
「『ねぇ』でしょ?」
口調も直されたところで全身鏡に映る自分をもう一度見る。
「別人…」
確認のために手を振ってみるが鏡の中の人物も同じ速度同じ振り幅で手を振った。
まぎれもない、俺だ。
「別人ってほどでもないっしょ?」
「もともと理央は可愛い顔してるし」
「痩せても太ってもない幼児体型してるし?」
「背も低いしね」
「…それって褒めてる?」
「「「褒めてる褒めてる」」」
嘘つけ!
という突っ込みはやめにして、まだ動き続ける千尋の手に注目する。
つけられたウィッグは長いものだったのに、わざわざまとめてお団子を作っているようだった。
「まとめるならなんでわざわざ長いの買ってきたの?」
短いの買ってこればよかったじゃん、と付け加えると3人は俺を見てハァとため息をついた。
「理央はほんとに女に無頓着だな」
「だねー」
「そ、そんなことないよ!」
俺だって女の子好きだよ、と反論すると彼女いたことあるのかと問い返され結局黙るはめになった。
「ほらみろー」
「女の子が好きなのと彼女がいるかいないかは関係ない!」
「はいはい」
「流すなっ!」
ムッとなってほっぺを膨らます理央の頬を3人がつつく。
それは田原鉄也、峰岸千尋、伊吹颯太。
歩くイケメンといわれている3人からお墨付きがもらえるほどに可愛いという。
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