第三話:蜘蛛女と老執事

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「さあ、参りますわよ!」 アヤカの声で、戦いが始まる。 私の体操服の能力は、単純に身体能力の向上。 まずはこれで様子を見て、隙を突いて別の服に着替える。 早着替えは私の得意技だ。 アヤカは私が体操服のままで戦うと思っているだろうから、これでイニシアチブを…… 「はっはっは! アスミの得意技は早着替えなのだ! 君の隙を突いて素早く着替えて攻撃する! 君に勝ち目はない!」 ……おいこら。 「パパぁぁ! 何で私の作戦を詳細に相手に説明してんのよ!」 「ああ! 超しまった!」 あああ、最悪だ。最悪だ。 「オホホホホ! 語るに落ちましたわね! ならば、着替える隙など与えないように致しましょう!」 アヤカが叫んだ瞬間、蜘蛛の衣装から糸が伸び、私たちの四方を囲む。 これじゃ物陰に隠れて着替えられない! 「動揺は隙を生みますわよ?」 「――っ!?」 アヤカの声はすぐ側から聞こえた。 気づけば、彼女の手が私の胸に触れている。 「フフフ、これで終わりですわ!」 瞬間、アヤカの手から糸が伸び、私の身体に絡みついた。
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