第三話:蜘蛛女と老執事

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「オーホホホ! 素敵な姿でございますわねえ、アスミさん」 アヤカの嘲笑に、思わず唇を噛む。 もはや、私は動けない。完全にジリ貧だ。 自分の今の姿が客観的にどう映っているかなんて考えたくもない。多分この上なく恥ずかしい状況になっているのだろう。 悔しくて、恥ずかしくて、涙が出る。 金に明かせて専用の衣装を作り、卑劣な手を使って戦う……こんな奴に負けたくない。 ――負けたくないのに! 「このまま裸になったら、さぞかし素晴らしい眺めでしょうねえ。楽しみですわ」 裸……? こんなポーズのまま裸になったら……やだ、やだやだ! 誰か……誰か助けて! 「ああアスミ……可哀想に……アスミの悲しみは、私がしっかりと記録し……」 「全く、悪趣味だな」 ――ぐしゃっ! 不意に、聞き覚えのある声と共に、パパの持っていたビデオが握りつぶされる。 なんで……? なんで来てくれたの……? ――泉岳寺君! 「な、なにをする! これは次の戦いに必要な……」 抗議を始めたパパを、ヘミナちゃんのハエトリグサがすかさずくわえ込む。 「泉岳寺さん、博士が持っていた青いドレスジュエルです」 ヘミナちゃんが投げ渡したドレスジュエルを、泉岳寺君がしっかりキャッチする。 その瞬間、眩い光が泉岳寺君を包み込む。 ――やがて光が晴れると、そこには体操服とブルマー姿の泉岳寺君の姿があった。
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