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「泉岳寺君……いいの! これはこういう戦いなんだから……。相手に恥ずかしい思いをさせて自分の願いを叶える戦いなの。私だって、自分勝手な悪者だよ!」
「その通りですわ。どんなに高尚な願いがあったとしても、他人にとっては犬の餌にもなりません。私達はみんな悪。それを分かっているだけ、アスミさんは偉いですわね」
アヤカは挑発的な瞳で俺を見る。
「だからこそ、私は悪の怪人に扮しているのですわ。威勢のいい男の子は嫌いではありませんけど、放置は危険ですわね。糀谷、やってしまいなさい」
「はっ!」
糀谷の表情が真剣みを増す。
おうおう、殺意がびんびん伝わってくるよ。
勝てないな。これは間違いなく勝てない。
だけど、俺の目的だけは果たさせてもらうぜ?
「小僧、わしの攻撃を受けて立ち上がったことは褒めてやろう」
糀谷が地面を蹴ると、次の瞬間には眼前に顔がある。
まったく……速すぎだろ、マジで。
「しかし、次はない。安心しろ、楽に眠らせてやる」
糀谷の拳が、俺の腹を抉る。
くっそ~~~! 相変わらずいてえええ~!
だけどよ!
「くそがああああ!」
「なにっ!?」
糀谷の拳をまともに受けながらも、俺は奴の顔面にパンチを繰り出す。
しかし、俺の右腕は糀谷の左手によって簡単に弾かれてしまった。
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