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「な、ななななんだ!?」
「きゃああああ! どいてどいてえええええ!」
どいてと言われても、ここ凄い狭い路地裏なんですけど!?
それに、このまま落ちたらあんただってタダじゃ済まないんじゃないか?
ええい、迷ってる暇はない!
女の子が地面に落ちる寸前、俺は大きく手を広げてその体を受け止めた。
――つもりだった。
「ぐぎゃっ!」
カエルが潰れたような悲鳴をあげて、俺はアスファルトの地面にたたきつけられた。
上空から落ちてくる人間の重みと言うものを甘く見ていたらしい。
背中に感じる、固い大地の感触。そして顔を包み込む柔らかい……え?
ええっと、俺の上にいるのは女の子で、だとするとこの柔らかい二つの膨らみは……
お……お……おっぱ……
「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」
不意に、俺を包んでいた暖かく柔らかい感触は消え、代わりに冷たい風が触れた。
「お怪我はありませんか!? ごめんなさい、迷惑をかけてしまって……」
少女が俺を覗き込むようにして謝罪の言葉をまくしたてる。
少し茶色がかった髪を片側だけ結んだ、明朗そうな少女。
しかし、俺の視線は否応なく別の方向へ向けられてしまう。
その少女が着ているのは、うちの学校のブレザー。
しかしその胸元やスカートは所々まるで消え去ったように四角い穴が開いていたのだ。
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