224人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あんた……その格好……」
「ふえっ? ……きゃあっ!」
俺が尋ねると、少女は慌てて胸とスカートを押さえる。
「こ、これは違うんです! ちょっと事情が……」
そう言いかけた少女が、何かに気付いたようにハッと顔を上げる。
「危ない!」
そして、またその柔らかい胸で包むようにして俺を抱きかかえ、その場を飛び退く。
瞬間、俺たちがいた場所で謎の光球が爆ぜた。
「な、なんだなんだ!?」
「くそっ! しつこいのよ!」
少女が俺をゆっくりと降ろして悪態を吐く。
少し遅れて、上空からイカれた金髪縦ロールのトレンチコートを着たお嬢様が、高笑いを上げながら舞い降りてきた。
「オーホホホ! ちょこまかとうるさいギンバエでございますわね! とどめを差してあげますわ!」
うわ、今時オーホホホなんて笑う女、初めて見たぞ!
しかし全く状況を把握できてない俺とは対照的に、横の少女は真剣な表情で唇を噛んでいて、お嬢様は何やら勝ち誇った様子で光の球を生み出している。
少女は、相当スタミナを消耗しているようで、すでに肩で息をしている状況だ。
よく分かんないけど、この子がピンチっていう解釈で合ってるよな、そうだよな。
ならば、とるべき行動は一つだろう!
「死になさい!」
お嬢様が光球を放つ。
少女は咄嗟に動けない。
俺は迷わず少女を抱え、近くの看板の陰へと飛び込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!