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「おい、大丈夫か?」
「あ、ありがとう……」
俺の腕の中で、少女が途切れ途切れに言う。
やっぱり疲れてるみたいだな、これは。
「気にすんな。お前だって俺を助けてくれただろう。お互いさまだ」
「違います! むしろ私が巻き込んで……」
「袖振り合うも多生の縁だ。気にすんな。今回はちょっとばかりハードに袖を振り合っちまったってだけの話だよ。それよりも……」
俺は、看板の隙間からお嬢様を見る。
勝利を確信していたお嬢様は、爆風が消えた後の誰もいない空間に大層驚愕し、必死で辺りを見回している。いい気味だ、ざまあみろ。
しかし、いつまでもこうしてはいられないよな。
「おい、このままじゃまずいぞ。反撃のアテはあんのか?」
俺の言葉に、少女はフルフルと首を振る。
「今は……反撃できない。着替えて来なきゃ……でも、ダメージも受け続けてるし、戦線離脱して時間切れドローを狙うしか……」
なんだかよくわからんが、逃げるしかないってことか。
だとすると、相当キビシいぞ。これは。
お嬢様の様子を伺いながら、思案する。
その時、少女が何かを見つけたように勢いよく起き上がった。
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