発端

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  処女のような顔をして、ゆかりは既に男に抱かれていたのだ。 その白くて清潔なワイシャツに包まれた肢体を惜しげもなく晒し、体内に男の一部を受け入れたのだ。 きっと、はしたない声を上げていたのだろう。 俺に聞かせているような明るい声ではない、獣のような声をあげて腰を振っていたのだ。 俺は悲しくなった。 目の前で笑っているゆかりが、ひどく汚されてしまったような気がした。 ゆかりを抱くのは、俺だったはずだ。 中学の頃から何年も絆を積み重ねてきたはずだ。 彼女が会社に入ってまだ一年程度。 そんな短い時間しか彼女と共有していない男が、彼女の何を知ってその体を賞玩したというのだろう。 許せない。 俺からゆかりを奪った男を許すことはできない。 殺してやる。 絶対に、殺してやる。 そしてゆかりを取り戻すんだ。
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