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決意した後の俺は自分でも思った以上に冷静でいられた。
まず、男の情報を集めなくてはならないとは思ったが、それはいとも簡単に果たされた。
落ち着いて彼女の話を聞き続ければ、男の住居などを特定するのは簡単だったのだ。
彼女はにこにこしながら、デートをした場所や彼の部屋に初めて入った時のことなどを語ってくる。
俺は、さもその話に興味があるような態度で突っ込んだことを聞けば、彼女は更に嬉しそうに詳細な情報を話してくれる。
もしかしたら、この話はまだ会社の仲間には言ってないのかもしれない。
身内を除いて俺が初めてこの話を聞いた人間なのかも知れない。
酔った勢い、俺への信頼、そして男への愛情。
彼女が饒舌になる条件はそろっていたのだ。
恐らく、俺は彼女の話し相手としては一番大きな位置を占めていたのだろう。
同じ会社の人間には話せないようなことも、部外者であり昔からの友人である俺には気兼ねなく話せるということもある。
それが、愛する男を危険にさらすなんて、思いもしないだろうけどな。
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