発端

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  扉を開いた瞬間、奥の部屋から物音が聞こえる。 元より気づかれずに潜入など無理なのだ。 だったら、スピードあるのみだ。 俺は迷わず物音のした部屋へと向かう。 恐らくあの男は合鍵を持つ彼女がはいってきたと思っているだろう。 ならば出迎えに来るはずだ。 俺は部屋の前に立って、息を潜める。 ノブを回す音が、微かに聞こえる。 相手は男だ。どれだけ力があるかもわからない。 だから、機会を逃してはならないのだ。 扉が開く。俺はすかさずその陰に隠れる。 そして、誰もいない廊下を見て首をかしげる男の心臓に、背後から素早くナイフを突き立てた。
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