掴んだ手

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「ホンマ千夏と言い、 部長と言い、おもろいなー。 お互いに酒に潰れたらキス魔て めっちゃ笑えるわー」 「うるさい黙れ」 「まぁまぁ怒らんといてや。 せやからな グッチーも、もっちゃんも 酔った千夏とチューしただけやねん。 あれで結構あの二人は 千夏にマジやったから 部長がゲットしたんが 悔しくてたまらんのやろ。 気にする事あらへんで」 …なんだか… 俺、こんな年下の橋本に 慰められてる気がする。 けれど不思議と橋本の言葉は 俺の胸にスッと入って来て。 俺、こういう弟が欲しかったな… なんて思いながら小さく笑った。 「千夏、守ってやってや。 アイツは部長が全てやから」 「…分かってるよ。 で、どこのデザインがどうだって?」 「おお、そうやった。 ここやねん、ここ」 デザイン画を指差して 一生懸命説明し始めた橋本に なんだか落とされた気分。 ウジウジ考えていたって 何も始まらない。 俺はどんな事があっても 千夏を失う事だけは嫌なんだ。 やっと… 自分から歩み寄って 掴んだ手なのだから。
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