重ねた想い

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ゆっくりと千夏を体ごと 振り返らせて、 その瞳をじっと見つめた。 「何があっても俺はもう 千夏を離さないからな。 そのつもりで俺について来い」 「ううっ…」 可愛い顔をクシャっとして 千夏が唇を噛みしめて。 その瞳からはまたポロポロと 綺麗な雫が落ちて行く。 「それと… 年内に千夏のご両親に 会いに行くから」 「えっ??」 俺の言葉に驚いた千夏は 涙も引っ込んだみたいで キョトンとしてる。 「お嬢さんを頂きますって 挨拶に行かないとだろ?」 「え?下さいじゃなくて 頂きますなの?」 「当然。 さらってでも千夏を連れて行くし」 その言葉にプッと千夏は 吹き出して。 「そういうユキくん、 初めて見た気がする」 肩を揺らして笑う千夏だったけど。 もう千夏の前では ありのままの小野幸哉でいようと 思ったから。 千夏となら… 千夏と一緒なら… お互いが抱えて来た過去の思いも 全て分かち合って行けると… そう思ったんだ。 「ユキくん…愛してる」 そう言って俺の頬にキスをくれた 千夏にもう我慢出来なくなった。
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