重ねた想い

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「もう限界。風呂出るぞ千夏」 「え??今入ったばかりなのに?」 「じゃ、ここでする?」 「えぇぇっ??」 顔を真っ赤にした千夏に クスッと笑みを落とした。 湯船の中で抱きしめながら 優しく唇を触れさせる。 伊香保の湯の温もりと 千夏の躰から伝わる熱に 俺自身が溺れそうになるのを 必死に堪えながら。 それでも欲望は止まらなくて。 「ちょ…ユキくんっ…」 「ダメ、もう止まんない」 「わ…分かったからっ! お風呂出るからっ!」 必死な千夏に笑いが込み上げて しぶしぶ千夏から離れる。 「今夜は寝かせねーから。 覚悟しとけ」 口角を微かに上げながら 呟いた俺に千夏は慌てて 風呂から飛び出して行く。 その姿にまた俺は笑いながら ゆっくりと湯船から立ち上がった。 やっぱ、お前、可愛いすぎ。 橋本用の浴衣だけに 千夏にはかなり大きくて 帯で調整してもまるで 子供が着ているような様に また笑いが込み上げる。 「もう…笑わないでよ」 プクリと膨れた千夏の濡れた髪に ひとつキスを落として。 「可愛いよ」 その言葉にまた頬を赤くした 千夏は俺の手に自分の手を重ねた。
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