重ねた想い

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もう誰に見られてもいいや。 そんな風に思いながら 堂々と二人で手を繋いで歩く。 けれど深夜だけに誰にも遭遇せずに 部屋の前まで辿り着いた時、 隣の部屋から出て来た人影。 「うぉっ!」 短い雄叫びを上げて 慌ててまた部屋に入って行ったのは 橋本だった。 「見られちゃったけど… 大丈夫?」 不安そうに俺を見上げた千夏に ニコリと笑みを落として頷く。 「問題ない」 だって橋本は共犯者だから。 なんて事は千夏には言えないけど。 自分たちの部屋に入ったと同時に 俺は千夏をまたお姫様抱っこ。 「うわっ!ユッ…ユキくんっ」 慌てる千夏をそのままベッドに運んで 静かに横たわらせる。 「だけどあまり声、出すなよ」 落した言葉に目を見開いた千夏に そのまま唇も落とした。 重なった躰が熱いのは 風呂上りだからって訳じゃない。 スルスルと解いた帯が床に落ちて 大きすぎる浴衣を剥ぎ取れば 千夏の白い肌が剥き出しになって その眩しさに目を細めた。 「千夏…綺麗だ」 何度も抱いたこの躰なのに 今夜は特別美しくて…。 抑え切れない欲望を 刻み付けて行く。 真っ白な肌に赤く刻んだこの印は もう俺だけの千夏である事の証。
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