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あらかた一人で名古屋残留が嫌で出野さんについてきたんだろう
ま、人のこと言えねーけど。
こんだけもコッチにいらねーか。
仕方ない、初日だけここにいて翌日名古屋に行くか。
――そう思って中部行きの便を予約した
「飯にいくか」
ああ、そういえば、言ってたな、なんて。
終了と共に出野さんの飯の掛け声。
正直、かったるい。
皆が歓喜をあげているその輪の外には、――浮かない顔をした、成田。
出野さんを囲む人の群れから外れてトボトボとヤさぐれたように歩く姿が、目につく。
「成田」
俺が名前を呼んだ瞬間。ハッとした顔で俺を見上げた。
「……」
気がつかなかったわけ?
俺様が気がついてやってるってのに、なんだその驚いた顔は。
「ちんたらすんな」
「すみません」
ムスッとした顔で、無愛想にそう返事してきた成田
理由はわかってるけど。
五木のオバサンなんかに負けてんじゃねーよ。たいしたことねーのに。
「言いたい事があるならハッキリ言えばいーだろ」
俺は静かにそう呟いた
「……な、ナニが」
「あのオバチャンに」
「ブッ……言えるっ!! わけないでしょうっ!!」
途端、吹き出した成田の笑顔に面食らう
突然すぎて、
「いや、お前ならイケる」
ハハッ、とつられて笑った
成田の笑顔は、やっぱいい
一番、いい。
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